傍観のトロイメライ

きっとさ、運命なんてどこにもなくて。

手繰ってきた糸をちぎったのはきっとどこかの自分に違いない。

 

あの日の自分に声をかけて

「目を覚ませ」「ここにいちゃいけない」

叫んでいたらどんなに良かったか

あの日の僕は知らない

今の僕には理解できない

 

どうして泣いているの

紙切れ一枚の薄っぺらい壁が 温い日常と僕を隔てるんだよ

もう戻れないの 甲高い笑い声 

描いていた未来 夢見ることも許されないのかな

 

冷えた薬は流れ流れて何処に行くの

そっと寝室に滑り込んで 盗んでいくの 僕らの愛の形を

姿見ることも叶わなかった 僕らの日々を

 

ねえもし もしだよ

君が願うなら どうぞ君を後世に残して

苦い蜜の味 僕はもう感じられないから

ねえもし もしだよ

君が望むなら どうぞ僕を置き去りにして

痛い擦過音 僕はもう聞こえないから

 

 

そう、拝啓 見えなかった貴方へ

来世は手を繋げたらいい